アーティストの楽曲が世に出るまでの裏側には、必ずと言っていいほど「レコーディングエンジニア」の存在があります。音のプロフェッショナルとして、スタジオでの録音・編集・ミックス・マスタリングを担当するレコーディングエンジニアは、アーティストの表現を最高の音で届けるために不可欠な職業です。本記事では、レコーディングエンジニアの仕事内容、1日の流れ、必要なスキルや学び方、収入やキャリアパスまで詳しく解説します。
レコーディングエンジニアとは?
レコーディングエンジニアは、音楽や音声の録音・調整・仕上げを行う技術職です。アーティストや演奏者が表現した音を、クオリティ高く収録し、作品として完成させるのが主な役割です。
レコーディングエンジニアは大きく以下の3つに分かれます:
- レコーディングエンジニア:録音作業全般を担当
- ミキシングエンジニア:録音された音をバランスよく編集
- マスタリングエンジニア:最終仕上げとして音圧や音質を整える
主な仕事内容
- マイキング:録音する音源に合わせたマイク選びとセッティング
- 録音操作:DAWを使った録音作業(Pro Toolsが主流)
- 音質調整:EQ・コンプレッサーなどを駆使して音を整える
- ミックス作業:複数トラックの音量・定位・空間処理
- マスタリング:音圧調整・フォーマット変換・納品準備
現場によっては、エンジニアが複数の工程を兼任するケースもあります。
1日の仕事の流れ(録音スタジオの例)
- 10:00|機材準備・セッティング:マイク、ケーブル、録音機材を設置しチェック
- 11:00|アーティスト到着・リハーサル録音
- 13:00|本番録音スタート:ボーカル・楽器などを各パートごとに録音
- 16:00|ミックス作業:録音した素材をバランス調整
- 19:00|データ整理・バックアップ
案件によっては深夜におよぶ作業や、ライブ録音、ロケ収録などもあります。
必要なスキル・知識
- 音響工学の基礎知識:マイク、ケーブル、録音機材の扱い
- DAW操作:Pro Tools、Cubase、Logicなどの編集スキル
- 音の感性:EQ、リバーブ、音圧の微妙な違いを聴き分ける耳
- コミュニケーション力:アーティストやディレクターとの信頼関係が重要
- スピードと正確性:限られた時間でミスなく仕上げる力
学び方とキャリアの始め方
- 音響系専門学校・大学:現場で必要な知識と実習を体系的に学べる
- インターン・アシスタントから経験:スタジオに就職してOJTでスキル習得
- 自主制作・YouTube活動:宅録でスキルを磨き、自作楽曲や作品を発信
- SNS・ポートフォリオサイト:サンプルを公開して仕事を獲得
収入と将来性
- 初任給(アシスタント):月15万〜20万円程度
- 中堅(フリーエンジニア):1案件3万〜20万円、月30万〜100万円
- スタジオ常勤:月給25万〜50万円、賞与ありのケースも
- 将来性:配信・動画・VTuber・ゲーム音楽など需要拡大中
宅録・リモート録音の普及により、自宅で活動するエンジニアも増えています。
レコーディングエンジニアは、音楽制作を裏側から支える“音の演出家”です。技術と感性の融合、そして人と音に真摯に向き合う姿勢が求められます。音楽が好きで、機材いじりが楽しい、という気持ちがあれば、あなたにもこの世界で活躍するチャンスがあります。ぜひ、音の世界に飛び込んでみてください。
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