映画を劇場で楽しめるのは、「配給会社」が存在するからこそ。作品を制作したプロダクションから権利を取得し、劇場やメディアに届ける仕組みを支えているのが配給の仕事です。本記事では、配給会社の役割、映画を流通させるまでのプロセス、必要なスキル、就職ルート、将来性まで詳しく解説します。
配給会社とは?その役割
配給会社は、映画作品を劇場や配信プラットフォームへ届ける中間業者です。製作側(プロデューサー・制作会社)から作品の上映権を取得し、興行主(映画館)に向けて宣伝・販売・契約手続きを行います。
また、上映後の二次利用(DVD、配信、テレビ放送など)の展開も重要な仕事です。
映画が劇場に並ぶまでの流れ
- ① 作品の選定:国内外の映画祭・企画マーケットなどで買付・調査
- ② 上映権の取得:契約を結び、配給権を獲得
- ③ 宣伝企画:予告編・ポスター・SNSなどを使ったプロモーション
- ④ 劇場営業:映画館と交渉し、上映館・スケジュールを決定
- ⑤ 公開後のフォロー:動員状況に応じた追加上映やイベントの対応
各段階での判断力や企画力、調整力が求められます。
主な業務内容
- 買付担当:海外映画祭や企画展で上映権を交渉・契約
- 編成・営業担当:全国の劇場に向けて上映提案・交渉
- 宣伝担当:メディア対応・イベント企画・SNS運用など
- 上映後展開:DVD、配信、テレビ放送、海外販売などの管理
大手では分業、小規模配給会社では1人で複数業務を兼任することもあります。
求められるスキル・適性
- 映画に対する知識・興味:作品の魅力を見抜く力
- 営業力:映画館との交渉・スケジュール調整能力
- 語学力:海外作品の買付や契約には英語力が必要
- マーケティング力:ターゲット分析・宣伝展開の立案力
- チームワーク・段取り力:社内外との連携とプロジェクト管理
就職するには?キャリアの始め方
- 映画配給会社・宣伝会社に新卒採用で入社:学歴より熱意と情報感度が重要
- 映画制作会社からの転職:制作現場経験を活かせる
- 映画業界インターン・ボランティアからの実績作り:映画祭スタッフなどの経験が有利
- マーケ・広告業界からの転身:宣伝力・企画力が評価されやすい
映画好きなだけでなく、ビジネス感覚や実務スキルも求められます。
収入と働き方
- 新卒社員:月給20〜25万円前後
- 中堅社員:年収400万〜600万円
- フリーランス(営業・宣伝協力):案件ベースで1本数万円〜数十万円
インディーズ系からメジャーまで企業規模によって待遇も異なりますが、ヒット作品に関わった際の達成感は大きい仕事です。
配給会社のスタッフは、映画を“届ける”プロフェッショナル。作品と観客をつなぐ最後のバトンを受け取る存在です。映画が好きで、広めたいという情熱を持っている方にとって、この仕事はやりがいに満ちたフィールドになるはずです。

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